「要介護でも住み続けて」 養護老人ホームの5割が対応(福祉新聞)

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出典元: 4月から機能訓練指導員(理学療法士)を採用し、リハビリを行っている

高齢化や重度化により介護が必要な入所者が増えている養護老人ホーム。入所者は介護保険の要支援・要介護認定(要介護認定)を受けると特別養護老人ホームなどに住み替えることになるが、住み慣れた場所で暮らし続ける選択肢も大切にしてほしいとの思いから、養護老人ホーム(全934カ所)の約5割が介護保険の特定施設入居者生活介護(特定施設)の指定を受け、介護サービスを提供している。ただ特定施設になるための人員配置や設備の改善を実施する予算の確保が課題となっている。

 全国老人福祉施設協議会(老施協)の調査によれば、養護老人ホーム入所者の約半数は要介護認定を受けており、認知症や障害のある人なども増えている。

 特定施設は、介護保険の指定を受けた有料老人ホームや養護老人ホームなどで入浴や排せつなどの生活介護、機能訓練などを行う。大半は有料老人ホームで、全国に約5000カ所(介護予防除く)、約21万人の利用者がいる。養護老人ホームの場合、特定施設は2類型、ほかに個別契約型と合わせて計3種類に分けられる。

 京都府京田辺市にある洛南寮(指定管理=社会福祉法人京都府社会福祉事業団)は今年5月末現在、入所者93人のうち要介護認定者は57人に上り、要介護3以上は24人。介護サービスを29人が受けている。養護老人ホームが特定施設の指定を受けられるようになった2006年10月に外部型特定施設、17年4月に一般型特定施設になった。

 特定施設の指定を受けるには人員配置や設備の指定基準をクリアしなくてはならない。

 例えば支援員・介護職員の基準をみると、養護老人ホームは入所者15人に対し1人だが、外部型特定施設は10対1、一般型特定施設は3対1になる。看護職員は養護老人ホームでは100対1だが、一般型特定施設は30対1。さらに特定施設では新たにケアマネジャーを配置する必要もある。

 設備基準では、養護老人ホームの大半は一般浴だが、介護浴への対応を求められ、機能訓練室も整備する必要がある。さらに一般型特定施設では介護用電動ベッドなどの福祉機器を自前で整備しなければならない(外部型特定施設は貸与可)。

 養護老人ホームの中にはこうした基準をクリアするのが難しい法人もある。伊藤勝敏寮長は「現状では福祉機器の整備は必要最低限にとどまる。支援員・介護職員はもとより、看護職員の確保は特に苦労した。事務処理も介護保険で煩雑になった」と言う。

 また勤務体制は日勤、宿直だったのが、早出、遅出、夜勤も必要になった。新たに介護サービスを始めることも含めて現場職員の理解を得ることも大切だ。

 一方、収入面をみると、介護保険事業による増収は見込めるが、養護老人ホームの措置費は実質減額(支援員人件費相当分)となり、特定施設の介護職員や看護職員などの人件費はかさむ。外部型特定施設より一般型特定施設の方が安定する傾向にあるものの、収入は定員に占める介護サービス利用者数や要介護度などによって異なるため、法人としてしっかり見定める必要がある。

 洛南寮は基本的に府からの指定管理料で運営している。措置施設である養護老人ホームの使命を果たしながら利用者のニーズに合った介護サービスの充実を目指し、一般型特定施設に類型変更した。伊藤寮長は「入所者と施設の安定のために何ができるかという視点で考えている」と話す。

 特定施設を選択することを推奨し、運営の助言もしている老施協養護老人ホーム部会幹事の平岡毅氏(社会福祉法人カトリック聖ヨゼフ・ホーム理事)は「要介護認定されたら措置を解除し、他の施設などに移すのはいかがなものか。介護状態だけみるのではなく、そもそも入所時の措置理由があるので、その人が住み慣れた場所にいられるようにしたい」と強調する。

 養護老人ホームをめぐっては、自治体による措置控えや建物の老朽化に伴う建て替えなども大きな課題となっている。老施協は全養護老人ホーム実態調査を8月ごろにまとめ、改善に向け提言する予定。

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