華やかな宮崎漆器いかが 社会福祉法人が守る伝統工芸(福祉新聞)

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出典元: ていねいに下塗り作業する

1957年設立の社会福祉法人宮崎県大島振興協会(赤木伸隆理事長)は、前身の県営授産場の時から「宮崎漆器」を制作し、県の伝統工芸品として育て上げた。しかし近年は売り上げが下降線をたどり、作業する利用者の高齢・重度化もあり、伝統工芸品が消滅しかねない岐路に立つ。

 県営授産場は第2次世界大戦中に沖縄からの疎開者の働く場として設けられた。疎開者の中に琉球漆器の職人がいたことがきっかけで制作が始まり、宮崎県の気候風土と相まって宮崎漆器が誕生した。県内で唯一、同法人が制作している。

 現在、生活保護授産、障害者入所支援・就労継続支援B型の利用者計42人が作業する。工程には下塗り→研磨→中塗り→研磨→上塗りがあり、利用者は適性に合った作業を担当する。仕上がりまでは3カ月から半年かかる。

 宮崎漆器の一番の特徴は堆錦(ついきん)という模様付け。漆と顔料を混ぜて薄く伸ばした板状のものから模様を切り取って貼り付ける加飾技法で、全国に28あるという漆器のうち、琉球漆器と宮崎漆器にしかない。立体的で華やかで重厚な仕上がりは高級感が漂う。ハイビスカスや干え支とのほか、要望に応じたデザインにも対応する。

 はし、お盆、おわん、重箱、名刺入れなど制作した商品は約500種類に上る。

 しかし世間の漆器離れや、バブルの崩壊などにより、最盛期には2億円あった売り上げは1000万円を割り込んだ。

 また以前は生活保護授産施設の利用者約100人が主体となって制作していたが、現在は障害者が大半を占めるため、職員抜きで全工程を行うことが困難になった。利用者の高齢・重度化に加え、利用者数の減少もある。

 ただ立ち止まっても始まらない。梶原浩三施設長は「ここが踏ん張りどころ」と職員一丸となって再起を期す。若者向けの商品開発のほか、施設内展示室をリニューアルしたり、パンフレットを改訂したりして、改めて宮崎漆器の魅力を分かりやすく伝えていく。「宮崎漆器を継承していくことが利用者の安定した生活につながる」と梶原施設長は前を向く。

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