インフルワクチン不足に備え医療機関が「自衛策」 – 厚労省の説明を疑問視、かかりつけ患者優先へ(医療介護CBニュース)

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出典元: 厚生労働省が都道府県にあてて出したインフルエンザに関する通知

インフルエンザワクチンが不足する事態に備え、接種の事前申し込みを求めたり、かかりつけ患者や小児を優先させたりして、在庫切れに備える医療機関が出てきた。昨シーズンはワクチンの出荷が遅れたことに加え、例年にない大流行となり、「ワクチン争奪戦」が起きたからだ。厚生労働省は「ワクチンを適切に使用すれば不足は生じない」と説明しているが、一部の医療機関は、これを疑問視し、独自の「自衛策」を講じている。【新井哉】

■例年よりも早い流行の兆し、医療機関が警戒も

 昨シーズンは、10月以降のワクチン接種が本格化する時期に十分な量のワクチンを供給できず、在庫を切らす医療機関が続出した。一部の医療関係者は「ワクチンの供給が遅れたため、大きな流行につながった」とし、ワクチン選定の遅れや効果的な介入ができなかった厚労省の対応を問題視していた。

 今シーズンは、滞りなくワクチンの供給ができるのか。今シーズンの製造予定量(8月31日時点)について、厚労省は、昨シーズンを約7万本上回る約2650万本を見込んでいる。10月当初の供給可能量に関しては「例年並みの約1000万本」としており、昨シーズンのような「ワクチン争奪戦」は起きないとの方向性を示している。

 昨シーズンは使用量を約152万本上回る製造量がありながらも、医療現場に大きな混乱をもたらしたため、厚労省の説明は説得力に欠ける。昨シーズンと比べて約7万本増やしただけでは心もとない。今シーズンの状況も予断を許さない。昨シーズンと同様、例年よりも早い時期から流行の兆しが出ており、インフルエンザ患者が報告されている地域の医療機関は警戒を強めている。

 厚労省によると、9月3日から16日までの2週間で、東京や愛知など15都府県の計29施設で休校や学級・学年閉鎖の措置が取られた。予防接種が本格的に始まる10月には、早めに予防接種を受けようとする人がワクチンの在庫のある医療機関に集中する可能性がある。

■接種対象者を事前申し込みに限定

 こうした状況を見越して、一部の医療機関では、接種の対象者を事前に申し込んだ人に限定したり、在庫不足で接種ができなくなる可能性があることをホームページで伝えたりしている。また、かかりつけの患者や小児の接種を優先するケースもあり、ワクチンの供給状況や地域によっては、かかりつけ医を持たない人の接種が困難になる可能性も出てきた。

 厚労省は都道府県にあてた通知(9月12日付)で「不足は生じない」と説明しているが、これはあくまでも「適切使用」が行われることを前提とした見解にすぎない。厚労省は、ワクチンの効率的な使用と安定供給を推進するため、小児以外のワクチン接種の総量を可能な限り抑制する方向性を打ち出しており、対策の周知に懸命だ。

 13歳以上の人に対する接種に関しては、ワクチンの添付文書に「0.5mlを皮下に、1回またはおよそ1-4週間の間隔をおいて 2回注射する」と記載されているが、厚労省は、医師が特に必要と認める場合を除き、「1回注射」であることを周知徹底するよう促している。

 また、前年の使用実績よりも大幅に多い量を納入するといった「必要以上に早期または多量の納入を求める予約・注文」を行うことは「厳に慎む」としている。ただし、厚労省の通知に強制力はないため、昨シーズンに問題となった発注量の多い医療機関への納入が優先され、地域の診療所への納入が後回しにされるケースを根絶することは難しそうだ。今後、医療法や医師法の改正などを視野に入れた抜本的な対策の検討が求められよう。

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