転倒・転落による頭部打撲の死亡事例を分析 – 日本医療安全調査機構、再発防止策を提言(医療介護CBニュース)

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出典元: 荒井専門分析部会長(右)は、記者会見で転倒予防の重要性を指摘した(4日、厚労省)

日本医療安全調査機構はこのほど、入院中に発生した転倒・転落と因果関係がある死亡事例を分析し、再発防止に向けた提言を公表した。患者に頭部打撲の疑いがある場合は、意識状態に明らかな異常がなくても、意識レベルの変化や麻痺、瞳孔などを頻回に観察し、頭部CT撮影を実施することを推奨している。また、抗凝固薬や抗血小板薬を内服している患者が転倒・転落した場合は、頭部打撲が明らかでなくても頭蓋内出血が生じたり、急激に頭蓋内の病変が進行したりする可能性があるなどとして、注意を喚起している。【吉木ちひろ】

 医療事故調査制度での「医療事故調査・支援センター」の指定を受けている同機構は、2015年10月から18年12月末までに届けられた医療事故の院内調査結果報告書(908件)のうち、ベッド周囲や病室内で起こった転倒・転落による頭部外傷が患者の死亡につながったとみられる11事例を分析して、提言をまとめた。
 11事例のうち、患者の年齢が70歳代以上の事例は8例、転倒・転落歴がある事例は6例あった。このうち、脳梗塞による左上下肢不完全麻痺と構音障害があり、リハビリ目的で入院中だった80歳代の患者の事例では、ベッドの足元に倒れている状態で発見された直後は声掛けに反応して、指示動作が可能だったが、その1時間後には指示動作が不可能になった。さらにその1時間半後のCT実施で急性硬膜下血腫と外傷性くも膜下出血と診断。複数回の嘔吐があり、救急搬送したが、搬送先のCTで出血増大、脳ヘルニアが認められ、転倒・転落の13日後に死亡した。

 こうした事例などから、同機構は頭部CTの結果、出血などの異常所見があれば脳神経外科医師の管理下で迅速に手術ができる体制(または手術が可能な病院へ転送できる体制)で診療を行うことや、ナースコールを自力で押すことはできないが、ベッド柵を乗り越えてしまうなど、リスクの高い患者には、患者・家族の同意を得て保護帽の使用を検討することなどを提言している。

 また、転倒・転落リスクについては、▽特に、重要なリスク要因である転倒・転落歴を患者・家族から聴取し、個別の予防対策の実施が望ましいこと▽認知機能低下・せん妄、向精神薬の服薬、頻尿・夜間排泄行動がリスクとなること▽転倒・転落リスクの高い患者へのベンゾジアゼピン系薬剤(睡眠薬や抗不安薬)の慎重な投与―などを指摘している。
 専門分析部会の荒井秀典部会長(国立長寿医療研究センター理事長)は、4日の記者会見で、予防の観点からは、看護師だけでなく多職種チームで対策と効果検証に当たることが重要と強調した。

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