妊産婦への医療の充実、母子手帳の電子化が俎上に – 厚労省・検討会で慎重論も(医療介護CBニュース)

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出典元: 「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(15日、東京都内)

厚生労働省の「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」は15日の会合で、妊産婦に対する医療の充実に向けて議論した。この日は、母子健康手帳の電子化が俎上に載り、電子化を進めるべきとの意見が出た一方、システムの構築などで時間がかかるため既存のツールを使って母子健康手帳を有効活用すべきとの指摘があった。【松村秀士】

 同検討会は、妊産婦が医療機関を受診した際に医療に上乗せされる「妊婦加算」が1月から凍結されたことなどを受けて設置された。同検討会では6月ごろまでに意見を取りまとめる方針で、これを基にして中央社会保険医療協議会で妊産婦への診療報酬上の評価の在り方を議論する。

 15日の会合では、妊産婦に対する医療の現状と課題について専門家からヒアリングした。中井章人構成員(日本産科婦人科学会代議員)は、妊産婦の診療になじみが薄い医療機関や診療科があることや、妊産婦の風邪や花粉症などについての情報が産婦人科に提供されないことなどを問題点に挙げた。

 その上で、今後の課題として、産科以外の診療科も妊産婦診療への配慮や理解を深める必要があるとしたほか、より多くの医療機関で妊産婦の診察が可能となるよう医療者向け研修の実施などを検討する必要があるとした。また、診断や処方などで診療科間の情報共有が求められることから、母子健康手帳の利用など、より簡便な情報共有の方法について検討するよう促した。

 意見交換では、高松登構成員(日本薬剤師会理事)が、妊産婦に関する情報提供などで「電子お薬手帳」が活用できると説明した。

 これに対して、中井構成員は、「産科医として知りたいのは、薬だけでなく診断や治療なので、母子手帳が電子化の方向に進み、それに集約できれば分かりやすい」と主張。井上真智子構成員(浜松医科大特任教授)も、母子健康手帳などの電子化によって、スマートフォンなどがあれば妊産婦に関するほとんどの情報が分かる仕組みが理想的だとの考えを示した。このほか、「大きいタイプの母子手帳を持ち歩くのはハードルが高いので、電子化にすれば持ち歩きやすくなる」といった声もあった。

 一方、電子化に慎重な意見も出た。石井和美構成員(知ろう小児医療守ろう子ども達の会代表補佐)は、母子健康手帳の電子化には時間がかかるとし、「既にあるものを活用するのが手っ取り早い」と主張。戸矢崎悦子構成員(全国保健師長会総務担当理事)も、「母子健康手帳にはお母さんの情報だけでなく、子どもの情報も一括して記入するので、その取り扱いで電子化がスムーズにいくかどうかは判断に迷う」とした。

 座長を務める五十嵐隆・国立成育医療研究センター理事長も、「電子化となると、誰が正しい情報を正しい時期にどうやって入れるのかが大事で、それを医療提供側がやるとなると、対価を払ってくれるのかという問題がある」と慎重な姿勢を示した。

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