社会福祉法人が花園を運営 新たな観光スポットに(三重・津市)(福祉新聞)

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出典元: バリアフリーに配慮し、車いすでも見学できる(撮影=多田良平)

三重県津市の社会福祉法人正寿会(伊藤重行理事長)は、福祉と環境を融合した観光花園「かざはやの里」を運営している。障害者支援施設「風早の郷」が管理する花園には、昨年2万3225人が来場。9日から3月24日まで梅祭りを開いており、同県の新たな観光スポットとして注目を浴びている。

 正寿会は、障害者ゴルフ教室の開催をきっかけに福祉に関心を持った、伊勢温泉ゴルフクラブの経営者・伊藤理事長が2001年に設立した法人。風早の郷(生活介護20人、就労継続支援B型50人、就労移行支援6人)を含め、障害者施設4カ所、高齢者施設3カ所を運営している。

 花園の運営は、植物の栽培や収穫を継続することで精神的・身体的・社会的機能の維持と回復を図る「園芸福祉」の一環として伊藤理事長が07年に発案。ショートコース16ホールのうち7ホール分(約5万5000平方メートル)を改修し、梅45種・500本、藤9種・1800本、あじさい39種・7万5000株を育てている。

 花園の管理をしているのは、B型の利用者8人と職員10人。剪定・追肥・除草・土壌改良などの作業を重ね、2年後の09年に一般公開。11年から有料公開(入園料300円)を始めた。

 それから7年。梅祭り、藤祭り(4月下旬~5月上旬)、あじさい祭り(6月上旬~7月上旬)には、色とりどりの花を見ようと多くの観光客が来場するようになった。

 1年目に4599人だった有料入園者は、昨年は1万7006人に増加。福祉関係者や18歳未満の無料入園者を含むと2万3000人を超える。デイサービスの送迎時やレクリエーション時に花園を訪れる近隣高齢者施設も多く、地域住民の憩いの場になっている。

 来場者が順調に増えた理由には、バリアフリーへの配慮がある。多機能トイレはもちろん、1周約1時間の見学コースは、舗装されたカート道路を使うことで車いす利用者も見学できる。歩行が困難な人には、乗用カートで案内してもらえるサービスもある。

 ただ、運営状況は厳しいという。「肥料代などのコストが月100万円かかり、なかなか黒字にならない」と話す小西秀明施設長。梅干しを作ったり、プリザーブドフラワー用にあじさいを出荷したりしているが、管理作業に追われ、利益を出すには至っていない。

 自然相手だけに苦労も絶えない。昨年は、藤が早く咲きすぎてゴールデンウイークの来場者が激減。9月の残暑と台風の影響で花芽の付きも良くない。花芽を食べる鹿・ウサギなどの獣害対策にも気が抜けない。特に大変なのが暑さとの闘いで、利用者の松井康宏さん(50)は「夏の剪定が一番きつい」と話す。

 来場者5万人を目指し、足湯を設けたり、子どもが楽しめる遊具などの設置工事を進めたりしている「かざはやの里」。小西さんは「今年から入園料を500円に引き上げ、黒字化と利用者の工賃(月額平均1万3000円)アップを実現したい」と意欲を燃やす。

 18年3月の三重県観光スポットのホームページ検索ランキングで5位を獲得するまでに知名度もアップし、今年は旅行雑誌やテレビ局の取材も相次いでいる。福祉と環境を融合した正寿会の取り組みに、『大輪の花』が咲く日はすぐそこまで来ているようだ。

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