「働けど 入院重ねりゃ 大赤字」 精神障害当事者カルタが話題(神奈川)(福祉新聞)

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出典元: 絵を描いてカルタを作り上げた

「働けど入院重ねりゃ大赤字」。働いて体調を崩し、入院したら家族に負担をかけてしまう。入院しないよう就労をセーブすることも家族への貢献ではないかーー。精神障害者としての信条を五七五で表した「精神障害当事者カルタ」が神奈川県内で話題となっている。海老名市に住む統合失調症の尾山篤史さん(46)が作った句をもとに、就労継続支援B型事業所「伊勢原そよ風ハウス」(伊勢原市)に通う精神障害者が絵を描いて札にした。カルタは当事者の集まりなどで活用され、好評を博している。

 尾山さんはそよ風ハウスの利用者ではなく、デイケアに通ったり、障害相談支援事業所の相談員を務めたりしている。「自分自身を見つめ直したい」と句を作り始めて2016年2月に完成。ある集会でそれを披露したところ、旧知の綿貫眞知子・そよ風ハウス施設長の目に留まった。

 「句を見た瞬間『これだ!』と思った」。そう振り返る綿貫さんは、「あ」から「わ」までの句を並べた一覧表をそよ風ハウスに貼り出した。普段は近隣の福祉施設に出向いて清掃などにいそしむ利用者は共感し、それぞれが気に入ったものに絵を描いていった。

  精神障害者だけでなく、誰もが思い当たる句も少なくない。「みくびるな遊びは仕事の基礎基本」(遊べない人は働けない、と思っております)ーー。この句は真っ先にできたという。どの句にもかっこ書きで解説を加えるのが尾山流だ。

 しゃべりが達者な尾山さんは、当事者が参加しやすい催し物を企画したり、うわさを聞きつけた人から講演を依頼されたりする。その結果、「17歳で発病してからこれまで1000人以上の当事者と会ってきた。生活がうまくいっている人を観察すると、なんとなく法則が見えてきます」と話す。

 その法則と自分の経験を凝縮したのがカルタの句だという。「当事者は感じたことを詩や絵など自分の得意な方法で発信するといいと思う。そこから新しい出会いが生まれるのでは」と尾山さん。

 思い入れがあるのは「お」の句だという。

 「押すか引け未来の扉は手動なり」(全部人任せにしていると未来はひらけない)。

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